感想(ネタバレありバージョン)
第三飛行少女隊を完成させて順風満帆だったはずのムサニ。
あれから4年後。
ムサニは大きく変わってしまいました。
そして宮森も。
劇場版前半はムサニやキャラ達の苦難の連続
テレビシリーズ1話。
宮森たちの高校生時代のパートが終わり、宮森が瀬川さんの家に原画を回収に行くシーンがありましたよね。
テレビシリーズのおさらいが終わった後の劇場版の冒頭、あのシーンのオマージュというか、同じような構成で始まります。
しかし劇場版の冒頭は何やら不穏な空気がいっぱい。
そしてムサニの会議室で第三飛行少女隊の視聴会のシーンとなるのですが、あんまりの人数の少なさに唖然です。
だって会議室にいたのは演出の円さん、色彩設定の新川さん、動画検査の堂本さん、制作進行の佐藤さんと新人君。それと宮森。これで全部。
宮森が会議室の入る前に宮森の妄想が入るのですけど、その妄想ではテレビシリーズ終わった当時のムサニのメンバーが総揃いしてたので現実の落差が酷すぎる。
でもこれが現実。これがムサニの現状なのです。
それに宮森達が視聴する第三飛行少女隊の2期。
これの元請けはムサニではなく、あのタイタニック!。
第三飛行少女隊のグロスやってムサニに迷惑かけたあのタイタニックが三女2の元請けって…。
普通よっぽどのことがなければ2期は同じ制作会社がそのまま作るものですが、どうしてムサニは元請けではないのか?
それにどうしてあの硬派でシリアスな内容だった第三飛行少女隊がパンチラや裸で売るような低俗な作品になっているのか?
まあいろいろわからないことだらけですが、一つだけわかることがあります。
それはムサニがどん底ということ。
ムサニの自社ビルに蔦が覆っている姿は過去のムサニは滅んだと観客に知らしめているのかも。
倒産寸前に見えるムサニ。
どうしてこうなった?
そのことは少しづつわかるようになってますが、端的に言うとオリジナル作品が制作中止になったから。
劇場版「SHIROBAKO」公開後PV【大ヒット公開中!】より引用
しっかり契約をしてなかったのでしょう。
既に製作作業は進んでおり、すべての損害はムサニが被ることになったようです。
丸川社長の尽力で倒産は免れたようですが、責任を取って丸川社長は辞任。そしてなべPがムサニの社長に就任しまいたが人材流出が続き、ムサニは下請けに逆戻りです。
宮森もすっかりやる気をなくし、惰性で仕事をやっている感じに。
これが続いてたらテレビシリーズの平岡みたいに闇落ちしてたかもしれませんねえ。
ムサニが下降線をたどる一方、ムサニを出て大出世したキャラも。
代表格は演出の山田さん。
まさか売れっ子監督になって我が世の春を謳歌することになるとは予想外過ぎます。
まあ、驕れる者は久からずで最終的にはムサニに協力することになりますが。
あとタロー。
テレビシリーズ1クール目は株が大暴落してましたが、2クール目の平岡とのやりとりでちょっとだけ挽回したタロー。
まさか劇場版ではムサニを出て演出に出世しているとは。
ただしまだ平岡とは組んでいるようで、一緒に企画を売り込みに行く仲。
何やかんや言ってもタローはタローのままでした。
劇場版後半はムサニのメンバーたちが再集結して頑張るお話
宮森とムサニが作った礫だいアニメのキャラ達が一緒に歌い踊るミュージカルシーンを挟んでストーリーは後半戦へ。
葛城Pの要請で新作劇場版アニメを作ることになります。
葛城P、テレビシリーズより見せ場が多かったです。
劇場版「SHIROBAKO」本予告【2020年2月29日(土)公開】より引用
そしてやる気が戻った宮森の元はかつての仲間たちが集結。
一致団結して劇場版アニメの製作にまい進します。
ただ中にはなかなか一歩を踏み出せないキャラもいて。
例えば遠藤さん。
ムサニが作っていたオリジナルアニメが中止になって自暴自棄に。
仕事もせずゲーセンに入り浸るなんて。
そんなダメ亭主を支える遠藤さんの奥さんが女神に見えてきます。
ただここは賛否両論あると思いますねえ。
男の方はこんな奥さん欲しいと思うでしょうし、女性だったら「亭主を甘やかし過ぎ」と思うことでしょう。
あと遠藤を復活させるシーンで瀬川さんとのやりとりがありましたが、イマイチ遠藤と瀬川さんの関係わからない。
瀬川さんが遠藤の先輩ということだけはわかりましたけど、それだけの関係なんでしょうか?
ここは小説か何かで補完して欲しいですねぇ。
新キャラの宮井さんはもうちょっと活躍シーンが欲しかった
今回の劇場版の新キャラとして登場する宮井楓。
劇場版「SHIROBAKO」本予告【2020年2月29日(土)公開】より引用
劇場版における宮森の相方という立ち位置ですが、もうちょっと活躍シーンが欲しかったですね。
飲みニケーションで宮森と意気投合し、終盤の敵役の三崎との対決シーンでは大事な役目を演じますけど、それ以外は目立った活躍ありませんからねえ。
たぶんタローと平岡、なべPと葛城Pと言ったようなコンビを宮森と宮井で作りたかったのでしょうけど。
「げ~ぺ~う~」って終盤のシーンで必要だった?
テレビシリーズになくて、今回の劇場版にあったもの。それは敵役。
「げ~ぺ~う~」はムサニが劇場版アニメを製作する切っ掛けを作った会社ですけど、切っ掛けのシーンはともかく、終盤の権利主張するシーン必要だったのでしょうかねえ。
正直宮森と宮井の見せ場を作るためだけに引っ張り出された感じがして。
契約書の条項は普通のアニメ会社だったらしっかりと確認するはず。
葛城Pや宮井が所属する「ウエスタンエンタテイメント」って大手でしょ。そこが条項の穴に気付かない訳ないと思いますけど。
まあ、フィクションだから仕方がない面もありますが、この部分だけは「何だかなぁ」と思いました。
ムサニの朝礼のシーンのホワイトボードに書かれていたのは?
ムサニの総力を結集して完成した劇場版アニメ。
これで仕事終了…とはいきません。
ムサニも制作会社ですので、次の作品を作ることになります。
今回のお話はここで終わるのですけど、最後の朝礼のシーン。ホワイトボードが映る演出なのですが、そこに書かれていたのは「真・第三飛行少女隊」。
今回第三飛行少女隊の原作者である野亀武蔵先生がちょっとだけ登場したのですけど、この最後のシーンのホワイトボードに繋がる伏線だったのかもしれませんね。
低俗アニメになり下がった第三飛行少女隊。
それをムサニが再生する。
何か夢がありますわ。
終わりに
今回の劇場版よくできてました。
テレビシリーズを全部視聴した方は絶対に見た方がいいです。
個人的には今まで見たアニメ映画のベスト10に入る出来だと思います(かなり贔屓目が入ってますけど)。
久しぶりに良い映画見れましたわ。