ちょっと前まで声優さんの安泰コースと言えば、アニメで知名度挙げてそのまま30代40代で主戦場をナレーションに移し、同時並行して養成所の講師になることだったと思います。
だから青二などナレーションが強く、養成所を持っている事務所に所属すれば安泰だと言われるようになったでしょう。
もちろん中には声優から音響監督などになる人も極少数いますが(千葉繁さんや郷田ほづみさんなど)、例外中の例外ですし、声優やりながらだとかなり行動が制限されるようにも見えます。
そんな声優業界ですが、最近はアニメで知名度挙げてゲームを主戦場にする方も増えているように思えます。
声優さんでゲームを選択する時代
現在は第4次声優ブーム。
NHKの紅白など歌番組にだって声優さんが普通に出演する時代です。
ゲームも当然声優さん目当てでプレーする人も増加しています。
一昔前ならゲームの製作費を抑えるために報酬ランクが低い若手声優さんをたくさん使うのが当たり前でしたが、現在は知名度がある声優さんを売りにするゲームも増えてきているのです(グラブルなど)。
そりゃあ、声優ファンとしては贔屓の声優さんが声を当てているならそのゲームをプレーしようという気持ちになるでしょうから。
ゲームは声優さん的においしい仕事?
日俳連に加盟している声優さんの場合、アニメのアフレコにはランク制が適用されて、そのセリフの量に関わらずランクに合わせた報酬となります。
以前はこの報酬が低くて社会問題化したこともあり、昔に比べたらだいぶんマシになりました。
現状は30分アニメ1本の場合、最低ランクのジュニアが1万5000円、そして逆に最高ランクとなると4万5000円以上になるようです。
詳しくは声優養成学校のサイトをご覧ください。
しかしアニメのアフレコは長時間拘束されることが当たり前であり、その報酬が労働の対価として正当かは現在でもいろいろ意見があると思います。
その一方ゲームは報酬の基準がなくバラバラでしたが、昨今アニメのアフレコと同じようにCESA加盟のゲーム会社のゲームの場合はランク制が導入されて昔のようにゲームの収録がものすごく美味しいとまでは言えなくなってきています。
ただそれでもゲームの場合、アニメのアフレコに比べると未だに実入りはいいし(ワード数×ランク制の単価?)、その収録は原則個別でやるのが一般的。
そのためスケジュールもアフレコに比べると融通が利き、さらに隙間時間を埋まることができるので、声優さんに大きなメリットがあるのです。
ソーシャルゲーム全盛だからこそよりおいしい
現在のゲームはスマホなどで楽しめるソーシャルゲームが全盛です。
そしてこのソーシャルゲームが全盛だからこそ、声優さん的には美味しいです。
普通のコンシューマーゲーム(PS4などの専用ゲーム機で遊ぶゲーム)なら、1本取り終わったところでゲームの仕事は終了します。
続編作られても声優陣が一緒ということは少ないでしょうから。
その一方ソーシャルゲームは、一度録音してもそれで終わりではありません。
ソーシャルゲームは一般的に長く遊んでもらい、ガチャやアイテム課金などで集金するシステムです。
そして長く遊んでもらうために一定間隔で新イベントを投入しなければいけません。
新イベントがどんどん投入される以上、その都度声優さんたちに再び仕事のオファーがくるのです。
ソーシャルゲームが続く限り、仕事が続く。
また余程のことがない限りCV変更もありませんし、ニコ生やイベントに呼ばれてその報酬も得られることに。
これほど美味しいものはないでしょう。
ただイベントに何度も登場するようなキャラは基本知名度が高い声優さんがキャスティングされますので、アニメで知名度上げた人ほどそういうキャラにキャスティングされる可能性が高いと言えるのです。
だからアニメに出演して知名度を上げなければいけないというところは同じということになりますね。
ゲーム→知名度が上がるというパターンは?
アニメで知名度あげてゲームの仕事をたくさんゲット。
これが今の一般的なパターンですが、では逆にゲームで知名度あげてアニメの仕事をゲットすることはあるのでしょうか?
もちろん可能性はゼロではありませんが、ほとんどの場合ゲームがアニメ化されて、それで知名度が上がり、その結果他のアニメの役をゲットするというパターンばかり(SideMや刀剣乱舞など)。
つまり売れるにはアニメされるような人気ゲームのCVになる必要がありますが、昨今のソーシャルゲームは年に100本サービスが開始され、100本サービスが終了になる大競争時代です。
そのためゲームをする人が分散し、ゲームのみで大ヒットするのが難しい時代となっています。
そしてそんな時代であっても当然ヒットするゲームがありますが、そのようなゲームは、大量の資本を投下している作品が多く、そういう作品に限って人気が出そうなキャラはアニメなどで実績がある声優さんが掻っ攫っていきます。
以上から新人声優さんが人気キャラを引き当てゲームだけで知名度あがるのはかなり困難なのです。
もちろん事務所などが売り出し中の新人声優さんをゲームの美味しい役に押し込むこともなくはないでしょう。
ただそんな新人声優さんの場合、アニメのオーディションなどでも優遇されているはずですので、純粋にゲームで知名度が上がったのでアニメの仕事をゲットしたのか判断できない場合が多いです。
終わりに
知名度挙げてゲームに起用されるのも声優さんの安泰ルートなるかもしれないという前提でこの記事書きましたけど、当然収入はナレーションと比較すると雲泥の差があります。
ただゲームがヒットして5年10年単位の長期サービスが見えてくればどんどん仕事が派生していき、声優さん的にかなりおいしくなりますからねえ。
そういうゲームの仕事を複数ゲットできればかなり良い線行くと思いますがどうでしょう?
まあ、もちろんアニメなどで知名度があがるのと、今のソーシャルゲームバブルが弾けないことが前提ですけどね。