感想(ネタバレあり)
物資不足でまともに戦えない同盟軍。
その同盟軍へラインハルト旗下の帝国軍が襲い掛かります。
同盟ファンとしては見たくないシーンでもある一方、同盟軍の提督たちが活躍できる数少ないところでもありますからね。
次々に撃破される同盟軍。
約3倍の敵と対峙し絶望的な戦況の中、ヤンはどういう手を打つのでしょうか?
なお前回第11話の内容を忘れた方はこちらからどうぞ。

12話の補足説明記事はこちらから。
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第12話の補足説明(みたいな)記事を作ってみた 「旧OVA版とDIE NEUE THESEの該当シーンの比べてみたら、違いが結構あった」
また同盟軍のキャラの動向はこちらからどうぞ。

補給艦隊を全滅させてキルヒアイスのよるお膳立て終了
ラインハルトに命じられ、一足先に出撃したキルヒアイス艦隊。
目的は同盟軍の補給艦隊の殲滅です。
ここで補給物資が前線に届いたら、せっかくの焦土作戦が水の泡ですので。
キルヒアイス艦隊の攻撃で同盟軍の補給艦隊は壊滅。
つ~か、補給艦隊の司令官が補給の重要性を認識してなかったようですね。
重要性を分かっていたら任務中に呑気にチェスなんてやらないでしょうし、「前線で何かあったのか?」という間抜けな台詞を吐かないでしょうから。
それはともかくこれでお膳立てはできました。
あとは同盟軍を殲滅するのみ。
ラインハルトは旗下の提督たちに命令します。
「叛乱軍(同盟軍)を討て」と。
銀河英雄伝説第12話より引用
同盟軍第10艦隊、そして他の艦隊も敵襲を受ける
同盟軍第10艦隊の司令部に哨戒艇からの連絡が途絶したとの情報が伝えられます。
艦隊司令のウランフ中将はすぐに敵襲だと認識。
そして、その第10艦隊にビッテンフェルト率いる黒色槍騎兵(シュワルツランツェンレイター)が襲い掛かります。
ビッテンフェルトは自分の艦隊を黒塗りにするほどの目立ちたがり屋。
こいつ無能なんじゃね?と旧OVA版見た時は思いましたが、ところがどっこい、攻撃力は帝国軍でもトップクラス。
よりにもよってこいつがこの宙域に来るなんて。
第10艦隊のウランフ中将は総司令部と各艦隊に敵襲の通信を送ります。
ここはセオリー通りですね。
敵襲の連絡を入れれば味方の来援を期待できますから。
部下たちにはすぐに第13艦隊が援軍として駆けつけてくれると話します。
しかしウランフだけはわかってました。
おそらく第13艦隊にも帝国軍が襲い掛かり、援軍に来る余裕がないと。
同盟軍の空戦エース「オリビエ・ポプラン」がやっと登場
時を同じくして第10艦隊以外の艦隊にも帝国軍が襲い掛かります。
ただ旧OVA版では逃げる一辺倒だった同盟軍が本作では防御に徹し、持ちこたえるようにしている艦隊も。
やっぱり旧OVA版では同盟軍の描かれ方があんまりだったので修正されたのでしょうねえ。
同盟びいきの私にとっては嬉しい改変ですわ。
さて第13艦隊が駐屯している宙域にも帝国軍がやってきます。
第13艦隊は空戦隊で迎撃。
空戦隊の士官であり同盟軍のきってのエースでもあるポプランを始めとする4人が出撃します。
銀河英雄伝説第12話より引用
旧OVA版では第2話から登場するポプランですが、本作ではここでようやく登場です。
でもこれが原作通りなんですよね。
さてポプランは勇んで出撃しますが帝国軍の前に苦戦。
さらにメイン武器の照準がズレており、これでは戦闘どころではありません。
すぐに帰投しメカニックのトダ技術大尉の胸倉を掴むポプラン。
まあこれは怒って当然です。
照準がズレていたら敵の艦載機を撃墜できないのですから。
銀河英雄伝説第12話より引用
素直に謝るトダ。
実はパイロットと違ってメカニックは補給不足で飯を食べていなかったのです。
そんな状態で整備すればダメなところだって出てきて当然。
それを聞き、トダに謝罪するポプラン。
旧OVA版ではトダが故意に照準をズレさせていたのですけど、補給不足で艦隊がおかしくなっていることを表現するために改変してきましたね。
確かに女の尻ばかり追いかけるポプランを嫌ってわざと照準をズラすより、食料不足で間違って照準をズラしてしまったという方が説得力あると思います。
たぶん。
第10艦隊は半数の艦隊の撤退に成功!しかし艦隊司令は戦死
援軍も来ず、味方が物資不足で士気の低下が著しい第10艦隊。
ウランフの指揮で何とか持ちこたえてきましたが、とうとう限界に達したようです。
戦える戦力はわずか1000隻。
通常の同盟軍の艦隊は1万数千隻が定数ですので、9割以上の戦力が戦闘不能ということになります。
部下から降伏か逃亡するしかないと進言されるウランフ。
これに対してウランフは即座に逃亡することを決めます。
イゼルローン要塞攻略戦の時のゼークトとは違い、一時的に不名誉を被っても逃げて復讐戦で名誉を回復すればいいと考えたのかもしれませんね。
まあこのように考える方が合理的ですし、味方の犠牲を最小限にできますので。
逃げると決めたらすぐに行動です。
ウランフは残存戦力に紡錘陣形を取らせ、ビッテンフェルト艦隊の中央突破を狙います。
これ、アスターテ会戦でラインハルトが用いた陣形ですよね。
中央突破を図るには一番良い陣形なんでしょう。
ウランフは分艦隊司令官であるアッテンボロー准将に傷ついた艦隊の指揮を任せ、
銀河英雄伝説第12話より引用
自分は戦闘可能な艦艇の戦闘に立ち、突破口をこじ開けるため、ビッテンフェルト艦隊に突撃します。
さすがにビッテンフェルトもこれに対処する方法を持っていなかったらしく、第10艦隊は約半分の戦力が逃亡することに成功します。
しかしその逃亡に成功した艦の中にウランフ中将の旗艦はありませんでした。
銀河英雄伝説第12話より引用
味方のために先頭に立って戦う。
それこそ艦隊司令官の務め。
それを実践したウランフは名将だったと思います。
過去形にしなければいけないのが残念ですが。
逃亡に成功したヤンを待ち構えていたのは?
第13艦隊との戦闘を続けていたケンプ艦隊ですが、あまりの被害の多さに陣形の維持もできなくなります。
副官の進言もあり、一度陣形を再編するためケンプは後退を決意。
ただこれは第13艦隊の攻勢を誘うことになる可能性がある危険な行為です。
でもなぜか第13艦隊はケンプが後退したのに合わせてそのまま逃亡してしまいます。
ここでケンプ艦隊に勝っても戦略的には意味ありませんからね。
それにもともと補給不足で満足に戦える状態ではありませんので。
ケンプ艦隊から逃げることに成功する第13艦隊。
ところがどっこい、今度は目の前にキルヒアイス艦隊が立ち塞がります。
第13艦隊の3倍の戦力を誇るキルヒアイス艦隊。
第13艦隊はダブルヘッダーの2戦目開始です。
無能な総司令官の命令でアムリツァ恒星系へ
場面が変わってイゼルローン要塞。
既に戦闘が始まったという情報は総司令部にも届いています。
第3、第7、第10、第12の各艦隊と通信できず、第5、第8、第9、第13の各艦隊は健在だが状況がわからない。
この時点で最悪4個艦隊が敵に撃破された可能性があるのです。
これは2個艦隊を潰されたアスターテ会戦の損害の比ではありません。
でもなぜか落ち着いているロボス元帥。
銀河英雄伝説第12話より引用
そして最高評議会の対面を考え、何と再攻勢に出るためアムリツァ星系に残存艦隊を集結するように命令します。
総参謀長のグリーンヒル大将は反対しますがロボスは命令を撤回しません。
口では最高評議会云々言ってますがこのまま負けると自分が責任取らされると思って、イチかバチかの賭けに出たようにしか見えないのですけどね。
ホ―ウッド中将の捨て身の攻撃でヤンは逃亡成功
総司令部からの集結命令に頭を抱えるヤン。
目の前には自分達の3倍の戦力を持ったキルヒアイス艦隊がいるのに。
アムリツァ星系に転進しようとしたら絶対に追撃を受けて損害が馬鹿になりません。
でも命令は命令。
どんなアホな命令でも従うのが軍人なのです。
ヤンは艦隊を単縦陣に再編、最後尾に装甲の厚い超ド級戦艦を配置し、敵の攻撃を受けつつそのままアムリツァ星系に転進する作戦を立て実行に移します。
しかし敵の指揮官はキルヒアイス。
そう簡単には転進させてくれません。
追い縋るキルヒアイス艦隊の前にどんどん犠牲を出していく第13艦隊。
さすがにダメかと思った時にキルヒアイス艦隊の左方向へ第7艦隊の残存戦力が襲い掛かります。
もともとこの宙域は第7艦隊が駐屯していたところ。
それがキルヒアイス艦隊の攻撃で全軍の9割が戦闘不能となり、敗走したのです。
このままでは終われない。
第7艦隊の司令官であるホーウッド中将にも意地があったのでしょう。
銀河英雄伝説第12話より引用
そして今攻撃を掛ければ、第13艦隊が転進できるという計算も。
ホーウッド中将の攻撃でチャンスが生まれた第13艦隊。
副参謀長のパトリチョフは第7艦隊との挟撃を進言しますが、ヤンはこのまま転進することを決めます。
転進してアムリツァ星系に向かう。
それが命令であり、戦略的にはたぶんそれが正解ですので。
そしてそれこそホーウッド中将が望んだことでしょうから。
銀河英雄伝説第12話より引用
それにしてもホーウッド中将が活躍するオリジナルを入れてくるとは。
旧OVA版では第14話で出番があった第7艦隊ですが、原作ではほぼ出番ないのですよね。
だから原作準拠の本作でも出番は全くなしと思っていたのですけど。
個人的にこのオリジナル要素はグッジョブですわ。
あと今回、キルヒアイスが一言もしゃべりませんでした。
どう考えても喋るべきとこでも全く喋らなかったので、たぶんキルヒアイス役の梅原裕一郎さんが病気療養に入った後にアフレコがあったのだと思います。
非常に残念ですが仕方ありませんで。
早く病気を治し、来年の劇場版のアフレコには間に合って欲しいですわ。
同盟と帝国の両軍はアムリツァ星系へ
同盟軍の動きはラインハルトの旗艦ブリュンヒルトにも伝わります。
同盟軍はイゼルローン回廊近くのアムリツァ星系を目指している。
でもイゼルローン要塞に逃げ込むようにも思えない。
オーベルシュタインの考えを聞いたラインハルトは決断します。
銀河英雄伝説第12話より引用
艦隊をアムリツァ星系に向かわせ集結するであろう同盟軍を徹底的に叩き、アムリツァを同盟軍の墓標にしていやると。
余裕綽々のラインハルト。
そりゃあそうですよね。
旗下の提督たちが同盟軍をすでに叩けるだけ叩いてますから。
ただ同盟軍にはまだ第13艦隊が健在ですからねえ。
ラインハルトの意図通り進むとは限りませんよ。
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第12話を視聴し終わって
今回で『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第1期終了でございます。
お疲れさまでした。
でもびっくりです。
まさかアムリツァ会戦の本戦の前に終わるなんて。
てっきりアムリツァ会戦を全部描いて来年の劇場版と思っていたのに。
まあ、ダイジェストになるよりはまだ劇場版に回して貰って良かったかもしれませんね。
ではここから全12話を視聴した感想などを。
私は旧OVAシリーズの大ファンであり、今回のDIE NEUE THESEに関しては期待半分心配半分でした。
そんな私から見て今回のDIE NEUE THESEは十分過ぎる出来だったと思います。
原作に忠実である一方、原作の矛盾を解消するような作りは見事としか言えません。
例えばアスターテ会戦の時、ヤンが戦場の外で第6艦隊と合流するようにパエッタに進言します。
でも通信妨害されている中、どうやって第6艦隊にそれを伝えるのか原作では記述がなかったのですけど、通信妨害されているのは第4艦隊周辺のみとすることで辻褄が合うようにしました。
またイゼルローン攻略戦でシェーンコップたちが同盟領方面からやってきたことの辻褄合わせも上手くできてたと思います。
ただその一方、残念だったところも。
例えば第8話。
他の記事にも書きましたがなぜマリーンドルフ伯を登場させたのか?
また登場させるならどうしてカストロプ公の親戚だとわかるようなセリフを入れなかったのか?
あの部分はホント残念です。
でも全体的に見れば十分良い出来であり、新しい銀英伝ファンも獲得できたと思います。
さあ来年はセカンドシーズン(2期)にあたる劇場版が公開されます。
銀河英雄伝説 DIE NEUE THESEのサイトより引用
第1期のスピードを考えると第1期で描ききれなかったアムリツァ会戦の本戦とリップシュタット戦役、そして軍事クーデターがメインとなるはず。
原作を読んだり旧OVA版を見たことない人はその展開に驚愕されることでしょう。
事前に予習してもいいですけど、初見で劇場版楽しむのもいいかも。
是非第1期同様、新規の方も旧来のファンも唸らせる作品を期待しております。
第13話の感想記事はこちらからどうぞ。
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第13話「アムリッツァ」の感想 「同盟軍の敗北確定!そしてヤンは新しい任地へ」
今回のまとめ三行
- 各個撃破される同盟軍
- 3倍の敵と対峙するヤン
- アムリツァに終結し決戦へ