感想(ネタバレあり)
無理に戦う必要がなかった戦い。
それが今回のマルアデッタ星域会戦です。
ラインハルトの副官シュトライトが会議で話したように、戦力的に遥かに優位にある帝国軍は一軍で同盟軍を牽制。
残りの一軍で首都星ハイネセンを落とすことだってできたはず。
しかしラインハルトはそうしようとはしませんでした。
それはこの戦いで同盟軍を殲滅し、同盟の滅亡という事実を同盟市民に知らしめることができること。
そして純粋に「ビュコックからの挑戦」を真正面から受けたかったためではないでしょうか?
老提督が命を課して出してきた挑戦状。
ラインハルトの性格から考えて受けない訳にはいきませんので。
第70話の感想記事を読みたい方は以下のリンクをご利用ください。
銀河英雄伝説(旧OVA版)第70話「蕩児たちの帰宅」の感想 「ルッツよりヤンの方が一枚上手でした」
Aパート:会戦の前日
偵察艦の情報から、同盟軍はマルアデッタ星域に布陣。
その数は2万隻前後と判明します。
この報せを聞き、帝国軍の若い提督たちの間には楽勝ムードが漂い始めてたようです。
敵の数が少なければそれだけ勝率があがります。
そして昨年ランテマリオ会戦でビュコック率いる同盟軍を一度は完膚なきまでに叩いていますからね。
そういうこともあって若い提督たちは同盟軍を甘く見ているのでしょう。
その一方、ミッターマイヤーやロイエンタールのような軍の重鎮たちは警戒感を高めます。
数が少ないということは敵が窮鼠となる可能性がありますからね。
そうなれば帝国軍にどれだけ議性が出るかわかりません。
その頃同盟軍の方ではビュコックが作戦を練っています。
おそらく自分の最期の戦い。
それにつき合ってくれるラインハルトを失望しないようなものにしなければならないと考えているようです。
でもこの戦いのために多くの人が死んでいく。
自己満足のために多くの兵士を巻き込むのですからビュコックの中では葛藤もあるでしょう。
それを察したチュン大将は、ビュコックに来世は医者になればいいと伝えます。
戦う前から来世の話をするなんて。
縁起が悪いですけど、戦死するのは確実ですからねえ。
この戦いで戦死すれば、ヤンかラインハルトが戦場に倒れる姿を見ることはないし、自由惑星同盟の滅亡を見なくて済む。
ホント戦う前にこんなことを考えるなんて普通ではありえませんが、これがビュコックの本心なんでしょうねえ。
Bパート:マルアデッタ星域の特性を使って同盟軍が善戦
マルアデッタ星域は大規模な小惑星帯を持ち、その小惑星帯の中に細い1本の回廊が存在します。
同盟軍はその回廊の入り口に布陣。
おそらく同盟軍はこの回廊に中に帝国軍を誘い込んで
各個撃破するつもりなんでしょう。
回廊は狭く、帝国軍は戦力差を生かすことができないので。
帝国軍の先鋒はグリルパルツァーとクナップシュタイン。
両人共にレンネンカンプの旧部下です。
同盟政府に見殺しにされたも同然のレンネンカンプの旧部下に先鋒を命じたのは、レンネンカンプの仇を討ちたいという両人の心情をラインハルトが最大限活用するつもりなんでしょうね。
でも両人とも所詮はまだまだひよっ子。
老練なビュコックの相手をするのはちょっと無理でした。
回廊内に引き込まれたグリルパルツァーの艦隊は、恒星風を利用した同盟軍の猛攻を支えらずに回廊の外に撤退。
またファーレンハイト艦隊が同盟軍の後背に回ることをバレないように陽動を命じられたクナップシュタインは同盟軍が回廊に仕掛けた機雷のため同盟軍を捕捉できません。
やっぱり帝国軍も第一線の元帥・上級大将たちとその下の大将や中将との間は能力と経験に大きな差があるようです。
さて、同盟軍の後背に回りこんだファーレンハイト艦隊ですが、実はその背後に同盟軍のカールセンの部隊がいることに気付かず、奇襲を受けてしまいます。
さらにクナップシュタインが機雷に手間取っている間に、ビュコックの本体がファーレンハイト艦隊を目がけて殺到。
ファーレンハイトは挟撃を避けるため一旦後退しますがこれも同盟の予測の範囲内。
カールセンの艦隊はファーレンハイト艦隊を追わず、そのまま帝国軍の本隊に向かいます。
これに気付いたファーレンハイトは殺到するビュコック艦隊に中央突破させた後にすぐに艦隊を再編。ビュコック艦隊を無視してカールセンの艦隊の背後を襲おうとします。
一方帝国軍の本隊の後方に回りこんだカールセンの艦隊でしたが、本隊の後方を守るのは鉄壁ミュラー率いる艦隊です。
そしてカールセンの後ろにはファーレンハイト艦隊が追い付き、カールセンの艦隊が挟撃されることに。
でもファーレンハイトの艦隊の後方にはビュコック艦隊が迫っており、このままだと今度はファーレンハイト艦隊が後方を叩かれてしまう。
と思ったら、ビュコックはファーレンハイト艦隊を無視してファーレンハイト艦隊の下方を通り、一気にラインハルトの本営に襲い掛かろうとします。
銀河英雄伝説って基本宇宙が舞台なので、3次元の戦いがメインになるはずなのにあんまりないのですよね。
通常は平面、つまり2次元の戦いばかり。
このマルアデッタ会戦のビュコック艦隊の動きは数少ない3次元を生かした戦いなので、しっかりと鑑賞しましょう。
さて突進するビュコック艦隊を抑えようとミュラーとファーレンハイトは艦隊の一部を向かわせますがその結果カールセンの艦隊に対する圧力が減少。
その隙をついてカールセンの艦隊はミュラー艦隊の防衛陣を突破します。
さあ、面白くなってきましたね。でも残念ながら今回はここで終了です。
銀河英雄伝説(旧OVA版)第71話を視聴し終わって
意外と言っては失礼かもしれませんが、ビュコック、カールセンなど同盟軍の提督たちは善戦してますね。
まあ、今回の相手がクナップシュタインやグリルパルツァーのような若造、そしてファーレンハイトのようなあんまり細かいことを気にしないタイプの提督が相手ですから。それも同盟軍が善戦した理由かもしれません。
帝国軍の中枢に殴り込みをかけた同盟軍は一矢報いることができるのでしょうか?
次回72話の感想記事はこちらからどうぞ。
銀河英雄伝説(旧OVA版)第72話「マル・アデッタ星域の会戦(後編)」の感想 「民主主義は臣下ではなく友人を作る思想である」
今回のまとめ三行
- マルアデッタ星域で帝国軍を迎え撃つ同盟軍
- 帝国軍を翻弄
- 隙をついて帝国軍の中枢へ