感想(ネタバレあり)
ラインハルトの同盟領再侵攻が始まり、同盟政府との和解は絶望的となったヤン。
そこでヤンはエル・ファシルを橋頭保としてイゼルローン要塞の再奪取を目論みます。
今回はその準備に関するお話です。
第68話の感想記事を読みたい方は以下のリンクをご利用ください。
銀河英雄伝説(旧OVA版)第68話「エル・ファシルへ」の感想 「金を借りる担保になりうるのは?」
老いて朽ちるより全盛期に倒される方が良い?
同盟領を突き進むビッテンフェルト艦隊ですが、途中で同盟軍のビューフォート准将のゲリラ戦略の前に足止めをくらいます。
これに怒ったビッテンフェルトは進撃を中断してビューフォート准将の根拠地潰しを優先。
見事根拠地を潰してビューフォート准将を敗走させます。
その過程で入手した情報の中にメルカッツに関するものがあり、それによるとメルカッツはヤンの元で健在であると。
そしてメルカッツ健在の情報がラインハルトの元にも伝えられます。
自分で墓穴を掘ったと思われたレンネンカンプですが、結局彼が信じた情報が正しかったのです。
まあこんな例は滅多にないでしょうけどね。
ラインハルトも出席した作戦会議。
そこでは同盟軍のことよりエル・ファシルに合流したヤンの動向に議題に登ります。
大方の意見は「ヤンの知略もそれを生かす兵力がなければどうにもならない」というもの。
確かにその通りですが、兵がいないならいないでどうにかするのがヤンですからね。
それがわかっているヒルダはヤンを放置するようラインハルトに進言します。
ヒルダは放っておけばヤン一党は勝手に自滅すると言ってますが、本心はラインハルトとヤンが戦うのを危惧しているのです。
ラインハルトの身に何かあれば新帝国が瓦解するかもしれませんので。
しかしラインハルトの様子を観察すると明らかにヤンとの再戦を望んでいる様子。
もしヤンと戦わず、ヤンが自滅してラインハルトの敵がいなくなったらどうするか?
ラインハルトが平和な時代を生き、老いて朽ち果てる人生を送る様になるのはラインハルトにとって幸せなのか?
ヒルダの自問は続きます。
常勝の英雄の秘書官もいろいろ考えなければいけないので大変ですわ。
家出息子(ユリアン)の帰宅
エル・ファシルに到着したユリアン一行はアッテンボローと再会してヤンの元へ向かいます。
そしてその途中でカリンと出会うユリアンたち。
何か今回もポプランに対するのに比べてユリアンに冷たいというか怒っているような態度が滲み出ているのですけど。
さすがにユリアンもカリンの態度に気付いていますが、それを指摘するのは野暮ですからね。
いくらシェーンコップの娘だとアッテンボローから聞かされてもどうにもできませんわ。
さて、ユリアンは久しぶりにヤン夫妻と再会を果たします。
ユリアンのいわば家出のためにいろいろ便宜を図ったヤンですがやっぱり心配だったでしょうね。
態度からそれがわかりますわ。
やっぱりヤンもユリアンが心配だったんでしょうね。
エル・ファシル政府の横やり
急ピッチで進むイゼルローン要塞奪取作戦の準備。
しかし一つ問題が発生します。
エル・ファシル政府がヤンが奪取作戦の指揮を取るために出撃するのに待ったを掛けたのです。
キャゼルヌ曰く「ヤンがイゼルローン要塞攻略した後、そのままエル・ファシル政府の言うことを効かなくなることを危惧してヤンの出撃を渋った」とのこと。
ホント面倒な奴らですねえ。
三顧の礼でヤンを迎えた癖にヤンの反乱に怯えるなんて。
ヤンみたいな小心者が反乱なんて起こす訳ないのに。
そんな勇気がある男だったら、バーミリオン会戦の時に同盟政府の命令を拒否していたわ。
結局ヤンはが折れて、自分はエル・ファシルに居残り。
攻略部隊の指揮はメルカッツに、実戦部隊はシェーンコップに任せることで妥協を図ります。
民主主義は文民統制が基本。
それはわかっていますが、その統制する側が無能過ぎてイライラさせられますわ。
父親達の決断
メルカッツの指揮の元、実戦部隊(陸戦部隊)を統括するシェーンコップはヤン夫妻の元を訪れます。
その目的はユリアンが実戦部隊に志願してきたのでその取り扱いをどうするかについて。
ユリアンはヤン夫妻の養子のようなもの。
そのためシェーンコップも一応ヤン夫妻にどうするか確認する必要があったのでしょう。
養子とは言っても大事な息子。
ヤンの本心を言えば行かせたくないはずですが、ヤンはその可否をシェーンコップに任せます。
ヤンは私人(養父)としての自分より公人(司令官)としての自分をとったのでしょうね。
ヤンは司令官であり、その力を使えばユリアンを危なくないところに配置することができます。
でもそれをやったらヤンがこれまで批判してきた権力者と一緒になってしまう。
ヤンはそれを一番に考えたのかも。
ヤンの返答に満足顔のシェーンコップはユリアンの履歴が書かれたページにマル印を付けます。
実際のところ、地球で陸戦を経験したユリアンは喉から出が出る位今回の作戦に欲しい人材ですからね。
実戦指揮官とすればそりゃあ出撃させますよ。
ヤンの執務室を出たシェーンコップはアッテンボローと鉢合わせし、話はカリンのことに。
アッテンボローに「カリンは美人かどうか?」聞いてくるシェーンコップ。
そしてアッテンボローは美人だと答えるとファイルのカリンのページにでっかくバツ印を。
ヤンとシェーンコップ、二人の親の考え方がよくわかりますね。
コリンの志願を却下したことで後からシェーンコップはカリンから文句を言われることになりますが、自分の子供を戦場に立たせたくないというのは親として当たり前。
娘に危険なことをさせたくない。
シェーンコップも普通の親なんですね。
自由惑星同盟宇宙艦隊最後の出撃
メルカッツ率いるイゼルローン要塞攻略部隊がエル・ファシルを出撃している頃、
同盟の首都星ハイネセン宙域ではビュコック元帥率いる同盟軍宇宙艦隊が出撃しようとしてました。
相手はラインハルト率いる数万の大艦隊。
一方同盟軍はヤンに一部の艦艇を譲渡したので、おそらくランテマリオ会戦の時より少数の艦艇しかいないはずです。
生きてハイネセンに帰ってくる可能性ほぼゼロの無謀な出撃。
しかし自由惑星同盟という国家の最後の意地を見せるため、そして同盟市民に同盟は命数を使い果たしたと認識して貰うために必要な出撃なんだと個人的には思います。
いつの間にかBGMが消えてビュコックの声と艦艇のエンジン音だけの中、ナレーションで告げられる自由惑星同盟軍最後の宇宙艦隊の出撃。
何気ないシーンと思う方もいるでしょうけど、個人的には銀英伝の中で屈指の名シーンだと思っています。
このシーンに勝っているのは回廊の戦いが始まる前の特殊EDぐらいかと。
ともかくこのED前90秒間ぐらいの演出はまさに神演出だと思います。
銀河英雄伝説(旧OVA版)第69話を視聴し終わって
今回はここで終了。
次回はイゼルローン要塞の攻防がメインとなります。
1度イゼルローン要塞を奪ったことがあるヤンですがもう同じ手は使えません。
さらに前回と異なり、今回イゼルローンの司令官はルッツですからね。
生半可な作戦では奪うことはできません。
さあ、ヤンはどんな魔術を繰り出すのか?
次回も楽しみです。
次回第70話の感想記事はこちらからどうぞ。
銀河英雄伝説(旧OVA版)第70話「蕩児たちの帰宅」の感想 「ルッツよりヤンの方が一枚上手でした」
今回のまとめ三行
- ユリアンもエルファシルへ
- 息子と娘を戦場に立たせるかどうか?
- 最後の宇宙艦隊の出撃