感想(ネタバレあり)
いよいよ放送が開始となった新銀河英雄伝説。
ストーリー的には旧OVA版とさほど変わりませんが、今回の新銀英伝は原作により忠実に描かれているようです。
旧OVA版の第1話の感想記事はこちらから。
銀河英雄伝説【旧OVA版】第1話「永遠の夜の中で」の感想 「1回上手くいった方法が次も有効とは限りません」
では新版の第1話はどのような感じだったのでしょうか?
包囲されたのではなく同盟軍を各個撃破する好機
ゴールデンバウム朝銀河帝国、自由惑星同盟、そしてフェザーン自治領。
この3つの勢力が拮抗した世界。
ってもうすでにここからおかしい。
帝国と同盟はともかく、フェザーンの国力考えても同列に並べるのはどうかと。
それに形式的にはフェザーンは帝国の自治領ですし。
私のような原作ファンの多くはここでツッコミを入れたではないでしょうか?
さてそんな情勢の最中、ローエングラム伯ラインハルトが率いる帝国軍遠征艦隊は同盟領であるアスターテ星域へ進軍中です。
アスターテ星域にはすでに敵である同盟軍が待ち構えており、その数3個艦隊約4万隻。
これに対して帝国軍は2万隻あまり。
数では同盟軍が圧倒的に有利であり、さらに同盟軍は数を生かして帝国艦隊を包囲殲滅しようとしているのです。
これは過去、帝国軍が同盟軍に大敗を喫したダゴンの殲滅戦と同じ形。
銀河英雄伝説第1話より引用
それを踏まえてラインハルト旗下に配属されている提督たちはラインハルトに意見具申ためにやってきます。
ラインハルト自身、提督たちがどういう意見具申をするかだいたい予想しているようですね。
戦力と布陣の状態を考えれば、戦わず撤退すべきと考えるのが普通ですから。
案の定、口火を切ったシュターデン中将は撤退すべきとラインハルトに具申します。
このまま戦端を開いても殲滅されるだけ。
だったら退却した方がマシ。
そして退却してもその責任はすべて艦隊司令官が被るもの。
今回一時的に配属された自分には関係ない。
シュターデンはそこまで考えているのかもしれません。
しかしラインハルトはこの進言を却下します。
なぜから、現在の状況は包囲殲滅される危機ではなく、各個撃破する好機と考えているからです。
確かに同盟軍の方が数が多い。
しかし包囲殲滅するため艦隊毎に行動しており、その数の優位を戦術面で使えない状態。
艦隊毎の連携が取れていない状態、つまり1個艦隊VS1個艦隊で戦えば、数的に同盟軍各艦隊1万数千VS帝国艦隊S2万。
帝国軍の方が数が多いのです。
もちろん戦闘で何が起こるかわかりません。
今は分散していても、戦闘が始まったら同盟軍も作戦を変更して一か所の戦力を糾合するかもしれませんから。
撤退案を却下された提督たちは明らかに不満タラタラ。
でも指揮官であるラインハルトの命令に背くだけの度胸がある奴もいないようです。
所詮その程度の奴らということでしょう。
ファーレンハイト少将以外は不満を抱えたまま帰っていきます。
正面から激突した同盟軍第4艦隊を帝国艦隊が撃破
3個艦隊4万隻の兵力で帝国軍を包囲殲滅する。
これが同盟軍の基本戦略です。
帝国軍は包囲殲滅を逃れるために撤退するか、一定の宙域に留まり守りを固めるはず。
用兵の常識から考えればそうするはずなのですが、各個撃破を図る帝国軍は直進。同盟軍第4艦隊に攻撃を仕掛けます。
銀河英雄伝説第1話より引用
まだ戦闘に突入しない。
そう考えていた同盟軍第4艦隊はポカーン状態。
さらに帝国軍の妨害電波のために思うように迎撃できません。
もう戦いは一方的。
第4艦隊は妨害電波のためにデータリンクを潰されシールドさえ張れない状態。
そのため次々に撃沈されていく同盟軍の艦艇。
銀河英雄伝説第1話より引用
ラインハルトが意図した通り、1個艦隊VS1個艦隊の戦い。
そして正面からぶつかった以上駆け引きは関係なし。純粋に数の勝負となります。
第4艦隊だけだと数で劣り、それに加えて戦う準備ができてなかったのですからすぐに決着がつきました。
第4艦隊は敗退。
銀河英雄伝説第1話より引用
第4艦隊旗艦レオニダスもご覧の通り、宇宙を浮遊する鉄くずに。
当然生存者なんていません。
たぶん司令官たるパストーレ中将も…。
これにて第1戦目終了。
帝国軍の完勝です。
次は後ろから同盟軍第6艦隊を攻撃して殲滅させる
当初の予定通りの行動を取る第6艦隊。
艦隊司令のムーア中将は呑気に飯を食っています。
銀河英雄伝説第1話より引用
そこに敵が意外な方向から現れたとムーア中将に報告するラップ少佐。
しかしムーア中将はその情報を信用しません。
ムーア中将の予想では帝国軍は第4艦隊と戦っているはず。
こんなに早くこっちに来るはずがないと。
確かに一般的な戦いだったら、敵を撃破後すぐに掃討戦に移り、一隻でも多くの敵艦を撃破するのが常識です。
だからその常識から考えると帝国軍がこっちに来るはずがない。
ムーア中将的にはそういう結論に至ったのでしょう。
でも帝国軍は同盟軍の想定を超える行動を取って第4艦隊と戦端を開いたのですから、その常識とやらで予想すること自体間違っているのですけどね。
帝国軍の砲火で旗下の艦隊が大損害を受けてようやく本当に敵が来たことを認識したムーア中将。
ここでラップ少佐は混乱を避けるために時計回りで艦隊を動かし、敵の後背に付くべきだと具申しますがムーア中将はその具申を却下。
艦隊を反転させてこの宙域で戦おうとします。
しかしこんな戦闘宙域で反転しようとすれば混乱するだけ。
反転しようとしてさらに混乱した第6艦隊はまともな反撃ができず、旗艦以下多くの艦隊を失い敗退しました。
ホント同盟軍の提督たちって無能揃いですわ。
よく艦隊司令まで出世できたなぁと思います。
完全勝利は目前!そのためラインハルトは調子に乗ってフラグ立てちゃった
第4、第6と2つの艦隊を撃破した帝国軍。
後は第2艦隊を撃破すればほぼパーフェクト勝利です。
艦数で言えば、帝国軍遠征艦隊約2万隻に対し、同盟軍第2艦隊は約15000隻。正面からぶつかれば数が多い帝国軍が負ける訳ありません。
だからこそラインハルトもかなり余裕があるです。
銀河英雄伝説第1話より引用
しかしキルヒアイスはまだ浮かない様子。
確かに帝国軍は勝ちつつある。
でもラインハルトのような天才が同盟軍の中にいたら…。
そんなことあるはずはない。
そう言わんばかりにラインハルトは軽口を叩きますが、それ完全にフラグですから。
さて同盟軍第2艦隊は旗艦パトロクロスが損傷し、艦隊の指揮を次席幕僚のヤン准将が取ることになります。
ヤンが艦隊に向けたスピーチを傍受し、それを聞くラインハルトとキルヒアイス。
「自分の命令に従えば負けない」というヤンのスピーチを聞いたラインハルトはそれを大言壮語と評価。
そしてさっさと勝負を決めるために陣形を再編させます。
ラインハルトが新たに取った陣形は紡錘陣形。
艦隊を密集させて敵艦隊の中央突破を図るのに使われる陣形です。
紡錘陣形に再編された帝国艦隊は同盟軍第2艦隊に突入します。
この攻撃により中央突破が成功。
第2艦隊は二つに分断されます。
でもここでラインハルトの頭に嫌な予感が浮かびます。
そして…。
銀河英雄伝説第1話より引用
今回はここで終了です。
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第1話を視聴し終わって
第1話はここで終了。
アナウンスされていた通り、原作準拠でしたね。
旧OVA版との違い(キャラデザなど以外)を簡単に列挙すると以下の通り。
- 同盟軍の各艦隊の数が均一ではなかった(旧OVA版では各艦隊1万3000隻ずつだった)
- フォーゲル中将にセリフがあった
- 第4艦隊の旗艦レオニダスが艦橋付近が大破して漂っている描写があった
- ラップが戦死するシーンがなかった(ペルガモンが撃沈するシーンのみ)
- キルヒアイスが「エル・ファシルの英雄と呼ばれた男」と「ヤン・ウェンリー准将」というキーワードを連呼しなかった
- 第2艦隊内の描写がほぼなかった
これ以外にも違うところがたくさんあるので、間違い探し感覚で見比べると面白いかもしれませんね。
総評ですが、第1話は旧OVAと比較しても十分すぎる出来だと個人的には思います。
私自身そこまで期待していなかったことも良い方に作用したのかもしれません。
この新銀英伝と旧OVA版とは別ものと考えて視聴しなければ、あら探しばっかりになってしまいますからね。
旧OVA版が好きな方も別作品として視聴することをお勧めします。
次回第2話のタイトルは「アスターテ会戦」。
たぶん少し時間が戻って同盟軍第2艦隊内の話が中心になると思います。
次回も楽しみです。
次回第2話の感想記事はこちらからどうぞ。
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第2話「アスターテ会戦」の感想 「ヤンの指揮で一矢報いる」
またこの記事で書き切れなかったことを補足の形で記事にしております。
よろしければどうぞ。
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第1話の補足説明記事を作ってみた
今回のまとめ三行
- 確固撃破する作戦を披露
- 第4、第6艦隊相手に完勝
- 第2艦隊に勝利しつつある