感想(ネタバレあり)
ヤンの逃亡、そしてレンネンカンプの死。
ハイネセンで起こった騒乱の事情がわかったところでラインハルトは決断を迫られます。
果てしてラインハルトはどういう決断をするのでしょう?
第65話の感想記事を読みたい方は以下のリンクをご利用ください。
銀河英雄伝説【旧OVA版】第65話「すべての旗に背いて」の感想 「重圧が1人の政治家を壊す」
ラインハルトの躊躇や迷いはロイエンタールの野心に火をつける?
ヤンやレンネンカンプの件で御前会議をすることになり、ミッターマイヤー、ロイエンタール、そしてオーベルシュタインが招集されます。
ラインハルトが来る前に軽く情報の確認をする3人。
今回の事態はレンネンカンプがヤンを逮捕するように同盟政府に勧告したのが切っ掛け。
それを知ったミッターマイヤーとロイエンタールはヤンに好意的です。
正当防衛や緊急避難をした感じですからね。
同じ立場に置かれたらミッターマイヤーもロイエンタールもヤンと同じ行動を取ったかもしれません。
一方レンネンカンプを使嗾したオーベルシュタインはレンネンカンプに同情的です。
同情的というよりはヤンの存在を危険と認識しているので、結果的にヤンを排除しようとしたレンネンカンプを評価しているのでしょうね。
でもオーベルシュタインがヤンを危険視するのは理解できないこともありません。
だって戦術に関してはラインハルトより能力が上。
そのヤンを遇するには、オーベルシュタイン自身が言ったように高すぎても低すぎてもいけません。
ヤンを自分の配下に加えたいと未だに思っているラインハルトの言動を考えると、最低ラインが帝国3長官と並ぶ地位、最高だとその上のナンバー2。
キルヒアイスが死んで、組織としては正常に形になっているのに、ここでナンバー2が新たに出現しては後の災いの種になりかねませんからね。
ヤンは有能だが帝国という組織にはいらない。
いや、いらないどころか邪魔になる。
オーベルシュタインはそのように思っている可能性が高いと思います。
ロイエンタールとオーベルシュタインが舌戦を繰り広げた後、ラインハルトがやってきて御前会議が始まります。
ラインハルトの気質を考えるとすぐに結論を出すとロイエンタールたちも考えていたはず。
しかし予想に反してラインハルトの下した決断は事実上の現状維持。
まあ、同盟政府が混迷するのをしばらく見ていると言っているので、おそらく同盟政府を滅ぼすのは決めているようですけど。
いつもは迅速に決定するはずのラインハルトがこんな決断をしたことにロイエンタールは失望を禁じ得ません。
ロイエンタールがラインハルトの旗下にいるのは、以前ミッターマイヤーを救うために力を貸してもらったのが一番の理由です。
でも当然それだけではありません。
ラインハルトの覇気と野心と能力にロイエンタールが魅かれたからです。
キルヒアイスが死んだことでラインハルトに残っていた温情は完全になくなりましたが、覇気と野心と能力はそのまま。
だからこそロイエンタールはラインハルトに忠誠を誓っていたのです。
しかしゴールデンバウム朝を滅ぼし、さらに同盟を属領にしたことで覇気と野心に限りが出ている。
ロイエンタールはそう思ったのでしょうね。
ロイエンタールは優秀な提督です。
しかしオーベルシュタインとは違った意味で癖がありすぎます。
忠誠を永続させるために覇気と野心と能力を常に維持しなければいけないなんて。
こういうことの積み重ねが取り返しのつかない事態になってしまうのですが、それはまだずっと後のお話です。
今の帝国は一部の天才で運営される歪な状態
工部尚書であるシルバーヴェルヒの指揮の元、新帝都であるフェザーンの開発がどんどん進んでいます。
ここまで順調に進んでいるのはシルバーヴェルヒの手腕に寄るところが大きいです。
ただ個人の能力に依存し過ぎると後々大変なことになるのですよね。
これはどんな組織でも同じ。
一人の優秀な指導者が頑張る間はいいのです。
でも人間ですから、いつかは他の者と変わることになります。
そして変わることによって今まで順調だったことがおそらく停滞することになるのです。
これってラインハルト自身にも当てはまることなんですよね。
新帝国が成立したのはラインハルトの寄与が大きいです。
さらに現在でも滞りなく帝国が運営されているのは、ラインハルト自身が頑張っているおかげ。
しかしそのラインハルトがいなくなったらどうなる?
結局個人に依存している現状を変えなければどうにもなりません。
シルバーヴェルヒに関しては、ラインハルト自身、ある程度頑張ってもらった後で工部省の権限を縮小して身の丈にあったものにするつもりのようです。
でもラインハルト自分自身に何かあったときはどうするつもりなんでしょうかねえ。
ビッテンフェルトの一言がラインハルトを覚醒させる
同盟政府の混迷を模様眺めするつもりだったラインハルト。
しかしビッテンフェルトの一言がラインハルトの考えを改めます。
ラインハルトが常勝だったのは歴史を動かしてきたから。
今回は歴史に動かされているのはどうよ?
まあこう言われたらラインハルトでなくても動かざるをえません。
ビッテンフェルトが言うことはその通りですからね。
即断即決、それがラインハルトがラインハルトである所以です。
ビッテンフェルトの言に心を動かされたラインハルトは同盟領への出兵を決定します。
目的は自由惑星同盟の完全併呑。
ラインハルトが動くことで他の人々や組織にも影響を与えます。
同盟政府やヤン一党はどうでるのでしょうか?
次回67話の感想記事はこちらからどうぞ。
銀河英雄伝説【旧OVA版】第67話「『神々の黄昏』ふたたび」の感想 「弁舌では帝国軍を止めることはできません」
今回のまとめ三行
- ロエンタールの野心に火がついた?
- 個人に頼り過ぎ
- 再出兵決定