感想(ネタバレあり)
第21話の内容をまとめると次のようになります。
- ヤン艦隊がハイネセンに迫る
- バグダッシュが救国軍事会議を糾弾する演説をする
- リンチが今回のクーデター計画がラインハルトの策謀だとグリーンヒル大将たちにバラす
- ヤンがアルテミスの首飾りを壊滅させる
- グリーンヒル大将とリンチが死亡
- トリューニヒトが姿を現す
- ボリス・コーネフが公務員(スパイ)に
救国軍事革命は失敗しました。
結局同盟の力を弱めただけでしたね。
有能な女性政治家、第11艦隊、そして同盟の未来を憂う士官たち。
これだけのものを一気に奪い去ったのですから、ラインハルトの仕掛けた策謀は大成功だったと言えるでしょう。
ホントやるせませんわ。
第20話の感想記事を読みたい方は以下のリンクをご利用ください。
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第20話「惨劇」の感想 「ラインハルトは攻撃を故意に見逃した?」
第20話ではキルヒアイスがリッテンハイム侯を撃破し、ラインハルトがブラウンシュバイク公を撃破。
そしてブラウンシュバイク公は自身の領地であるヴェスターラントの反乱鎮圧のために核兵器を使うことに。
バグダッシュの演説とクーデターの事実
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第21話より引用
ヤンへ寝返ったバグダッシュに今回のクーデターはラインハルトの策謀だったという主旨の演説をやらせる。
事実を知らない者たちからすると「そこまでするか」と思うでしょうね。
救国軍事会議をラインハルトの手先扱いすることで少なくなった救国軍事会議への支持をさらに減らそうとしているとしか見えないですから。
でも実際にこのクーデターはラインハルトの策謀の一環。
ヤンは証拠を掴んでいる訳でもないのに真実にたどりつき、それをバグダッシュに演説させているのですよねえ。
リンチから今回のクーデター計画はラインハルトが発案したものと聞かされた時のグリーンヒル大将の顔はコロコロ表情が変わっている感じでした。
トンデモナイこと聞かされた時ってあんな風になるのでしょうね。
自分の正義を信じてやったことがすべて帝国の権力者の手助けだった。
こんなにショックなことはありません。
普通ならここで思考停止してもおかしくはないのですが、次の驚愕する事態が発生して思考停止する暇がありませんでした。
ヤン艦隊がアルテミスの首飾りを一機残らず破壊したのです。
アルテミスの首飾り破壊
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第21話より引用
首都星ハイネセンを守る防御システム「アルテミスの首飾り」。
これがある限りヤンも迂闊にハイネセン侵攻できない…と救国軍事会議のメンバーは考えていたようです。
まあ第11艦隊亡き今、救国軍事会議がすがるべき戦力はこのアルテミスの首飾りだけですからね。
まさに救国軍事会議の最後の精神的な支柱って感じ。
だからこそヤンは12機すべてのアルテミスの首飾りを壊すことにしたのです。
12機すべて破壊されれば救国軍事会議に与えるショックは大きいですからね。
継戦の意思なんて吹き飛ぶでしょうから。
ヤンは大きな氷塊にエンジンを付け、それをアルテミスの首飾りにぶつけることで12機のアルテミスの首飾りを破壊することに成功しました。
これでクーデターも実質的ジエンドです。
グリーンヒル大将の死亡と救国軍事会議の瓦解
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第21話より引用
アルテミスの首飾りが破壊されてことで抗戦意思をほぼ喪失した救国軍事会議。
そりゃあアルテミスの首飾りが最後の拠り所だったのです。
そのアルテミスの首飾りが破壊された以上、まともな神経だったら戦い続けようと思わないはず。
抗戦はしない。
でもグリーンヒル大将は最後にやるべきことが残っています。
それは今回のクーデターがラインハルトの策謀であるという証拠を消し去ること。
クーデターは失敗したけど、その崇高な理念だけは守りかったのでしょう。
帝国打倒のために同盟を変えようと思ったら、それ自体帝国を手助けするものだったなんて事実は笑えませんので。
グリーンヒル大将はリンチを亡き者にしようとしますが、リンチの銃で逆に殺害されてしまいます。
まあグリーンヒル大将は仮に生き残っても全責任を取るために自決したと思いますわ。
リンチを殺そうとする直前のセリフを聞いていると裁判を受けるような感じではなかったので。
ヤンが思う政治の腐敗と政治家個人の腐敗の違い
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第21話より引用
救国軍事会議のメンバーの一人であるエベンス大佐はヤンに抗戦する意思がないことを伝えます。
そしてヤンに返答する形でグリーンヒル大将が死んだことも。
その後ヤンとエベンスが口論となりますが、たぶんこのシーンが今回重要なものだったと思います。
政治の腐敗と政治家の腐敗。
政治家がわいろを貰うのは政治家個人の腐敗で、政治家がわいろを貰ったことを批判できないのが政治の腐敗だと。
これはヤン自身の政治家の腐敗と政治の腐敗の定義だと思いますが、面白いですね。
普通はワイロを貰った時点で政治の腐敗と思いますが、ヤンからするとその段階では政治の腐敗ではないと。
このヤンの定義から考えるにヤンは「国民の政治への意識」と「国民の政治を批判する自由」と重要視していることがわかります。
そんなヤンだからこそ言論統制して批判する自由を潰そうとした救国軍事会議を是とする訳にはいかなかったのでしょうね。
トリューニヒト復活
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第21話より引用
クーデターが起こった責任は誰が負うか?
首謀者たちが負うのは当然です。
でも同時にクーデターを止めることができなかった政府、特に最高評議会議長にも責任があるはず。
ただ現在の最高評議会議長たるヨブ・トリューニヒトは責任を問われませんでした。
それどころかクーデターが終わってからノコノコと出てきて、原作では権力基盤を強くするのに今回のクーデターを利用するのです。
今回のタイトルは「誰ための勝利」。
今回のクーデターでは勝利者がいないということを現す一方、本来は勝利者ではないトリューニヒトが結果的に恩恵を被ったことを皮肉的に現しているようにも思えてきます。
ボリス・コーネフ氏が公務員(スパイ)に就任
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第21話より引用
ヤンの悪友だったボリス・コーネフ。
そのコーネフ船長がルビンスキ―の命令で公務員(スパイ)になることに。
当然コーネフは拒むこともできたでしょう。
ただ拒めばベリョースカ号やコーネフの部下たちはどうなったか。
それがわかるからこそコーネフ船長は当たり散らしたのでしょう。
コーネフ船長は受け入れるしか選択肢ありませんからねえ。
先の話になりますがこのコーネフ船長を公務員にするという策、実質的にフェザーンに何ら利益をもたらすことはありませんでした。
だってヤンは最前線のイゼルローン要塞とその駐留艦隊の司令官であり、コーネフが駐在することになるハイネセンへは滅多に行きませんからね。
ただコーネフがハイネセンに赴任したことでストーリー的には大きな影響を与えることになります。
コーネフがいなかったらユリアンがあの星に行くこともなかったかもしれませんので。
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第21話を視聴し終わって
今回はここで終了。
同盟の方が決着がつきました。
次回は帝国の内戦に決着がつきます。
ただし悲劇はその後に起こるのですが。
次回も楽しみです。
第22話の感想記事はこちらからどうぞ。
『銀河英雄伝説 DIE NEUE THESE』第22話「黄金樹は倒れた」の感想 「リップシュタット貴族連合敗北!そして悲劇はここから始まる」