感想(ネタバレあり)
今回は「ユリアンと一緒に人類の歴史を学ぼう」という回です。
まあ本編とは直接関係ないのですけど、ここまで本編には出て来ない歴史を綿密に作り上げている作品もそんなにないと思います。
第39話の感想記事を読みたい方は以下のリンクをご利用ください。
銀河英雄伝説【旧OVA版】第39話「ひとつの旅立ち」の感想 「ユリアンとの挨拶でヤン艦隊の人々の人となりがわかりますね」
衆愚政治がルドルフ・フォン・ゴールデンバウムという独裁者を生む
銀河連邦を成立させた人類は新たな黄金期を迎えます。
しかしそれも長くは続かず、利権を漁る政治業者が権力闘争に明け暮れる衆愚政治に陥ってしまうことに。
こういう時に望まれるのが世界を刷新してくれる英雄。
いつの時代も同じですね。
そしてこの時代にも英雄が降臨しました。
その者の名前はルドルフ・フォン・ゴールデンバウム。
この時はまだ普通の市民のはずなのにもうフォンって名前に付いています。
ルドルフは軍人として武勲を重ね、少将で退役すると政界に進出。
英雄を求めていた民衆はこの若き英雄に陶酔し、ルドルフ率いる一派はどんどん力をつけて最終的にルドルフは首相に就任します。
そこでルドルフが首相として社会を変革し、然る後に政界を引退していれば民衆は幸せだったのかもしれません。
でもルドルフは首相になっただけでは満足せず、不文律で兼任が認められなかった大統領職にも就任し、終いには終身執政官、そしてとうとう神聖不可侵な皇帝を名乗ることになります。
明文化されていないことを悪用して兼任したところは、どっかの国の総統様そのままだし、議会政治を悪用して皇帝名乗ったのは、某英雄の甥っ子と同じです。
世界史学んでいた人達はニヤッてするでしょうね。
さて皇帝になったルドルフは少しづつ恐怖政治に移行していきます。
そしてその恐怖政治はルドルフが死んでも終わらず、民主共和派の人々には暗黒の時代が続くことに。
英雄が独裁者へ。
よくあるパターンですわ。
帝国の圧政を逃れた者たちによって自由惑星同盟が建国される
ルドルフやその子孫による圧政。
しかし暗黒の時代から新しい希望が生まれることもあります。
辺境の惑星で強制労働に従事していたアーレ・ハイネセンという青年は、子供たちがドライアイスで遊んでいたところから天然のドライアイスを使って宇宙船を建造することを思いつき実行に移します。
そしてドライアイスの船ができるとハイネセンは40万人の人々とその船で逃亡。
途中立ち寄った惑星でちゃんとした恒星間移動ができる宇宙船を建造し直してさらに辺境に逃亡します。
逃亡の途中、ハイネセンが事故死、
ハイネセンの後を継いでリーダーになったグエン・キム・ホアも老齢で失明した時、ようやく居住可能な惑星を発見、その惑星を根拠地と定め、逃亡してきた人々は自由惑星同盟を建国します。
最初の国民は16万人。
一連の逃亡で24万人の死者を出しましたけど、何とか逃亡に成功したのです。
後に長征1万光年と呼ばれるこの逃亡劇。
まんまお隣の国の長征のパクリですね。
さて、建国された同盟は急速な発展を遂げます。
周りは未開の惑星だらけ。
まさにフロンティアが転がっている状態ですからどんどん発展しないのがおかしいのです。
そして同盟建国から約1世紀、帝国と同盟がとうとう遭遇。
同盟を討伐するために帝国はヘルベルト大公が指揮する大艦隊を派遣しますけど、同盟軍の包囲殲滅戦の前に壊滅してしまいます。
これがいわゆるダゴンの殲滅戦であり、後年アスターテ星域でパエッタ、パストーレ、そしてムーアの三提督がこの再現を狙っていましたね。
結果は帝国軍に各個撃破されて金髪の儒子の昇進を助けることになりましたけど。
ダゴンの殲滅戦の結果、不満を持つ帝国臣民が同盟に逃亡、同盟も逃亡してきた人間を積極的に受け入れましたからどんどんと人口が増えていきます。
でもここでちょっとツッコミを。
自由惑星同盟の建国時の人口が約16万人。
それから帝国と遭遇するまで約1世紀ありましたけど、どれだけ多産を奨励しても1億人超えるのは無理ですよね。
それなのに現在の同盟の人口は130億…。
亡命者多すぎだろ(-_-メ)
つ~か、帝国も亡命を止める気なかったんでしょうね。
人口増えて帝国と対抗できる力を持った同盟ですけど、その結果銀河連邦みたいに衆愚政治に陥ってしまいます。
民主共和政治ってやっぱり構造的欠陥があるとしか思えませんね。
一方帝国ではラインハルトが独裁者としてドメスティックに腐敗を一層して臣民が生活しやすい環境に。
果たして帝国と同盟、どっちがマシなのでしょうか?
そんな風に考えてしまいますわ。
銀河英雄伝説【旧OVA版】第40話を視聴し終わって
今回はここで終了。
本編でしっかり描かれる訳でもないのに歴史が詳しすぎ。
そして今回の話を見ていると民主主義って結構ダメそうな気がしてきますわ。
第41話の感想記事はこちらからどうぞ。
銀河英雄伝説【旧OVA版】第41話の「作戦名『神々の黄昏』」感想 「ボルテックの寝返りで同盟とフェザーンは大ピンチ?」
今回のまとめ三行
- ルドルフが権力を握ったのは民衆が英雄を望んだため
- アーレ・ハイネセンがいなければ同盟の成立は無かった?
- 最良の専制政治VS最悪の民主政治の構図に