感想(ネタバレあり)
今回でマルアデッタ会戦が決着。
勝敗は動きませんが、ビュコックは最期に気骨を示します。
ただラインハルトにそれを言ってもあんまり心に響かないでしょうけどね。
だってラインハルトも臣下だけを欲して訳ではありませんので。
なお前回の内容を忘れた方はこちらをお使いください。

恒星風が同盟軍に味方するがそれでも帝国軍は倒せない
ミュラー艦隊を突破したカールセンの艦隊。
しかしラインハルトの直営艦隊の攻撃、さらに後背から追い縋るミュラーとファーレンハイト両艦隊の攻撃でタコ殴りされる状態に。
ただその後ろにはビュコックの同盟軍本隊がおり、マルアデッタ星域の恒星風を利用して再攻勢に出ます。
これが成功し、帝国軍の一部を突破。
でもこれに気付いたミッターマイヤー艦隊に側面を突かれて万事休す。
ビュコックの同盟軍本隊の後ろにはアイゼナッハ艦隊がぴったりついており、もう二進も三進も行きません。
行方不明だったビッテンフェルト艦隊まで駆けつけ、同盟軍はさらに不利な状態へ。
そしてずっと攻撃を耐えていたカールセンの艦隊が全滅。
カールセンも旗艦と運命を共にしました。
原作ではあっさりと戦死するカールセンでしたが、この旧OVA版では自分が士官学校卒でないので苦労した話やラインハルトと戦うことができて満足したという話が入って、かなり優遇された最期となりました。
原作を持っている方は是非この旧OVA版と比べてください。
民主主義は臣下ではなく友人を作る思想である!
カールセンが戦死し、艦隊の8割を失った同盟軍。
勝敗は決しました。
このまま交戦しても意味はありません。
そこでビュコックは艦隊に離脱許可を与えます。
要は艦艇毎に勝手に行動しろということ。
まあ現状を考えれば、さっさと離脱して逃亡するでしょうけどね。
そしてその時間を稼ぐため、同盟艦隊総旗艦のリオグランデは殿(しんがり)を務めることになります。
司令官は最後まで戦場に踏みとどまる。
アムリツァ会戦の前哨戦でウランフがやったようにビュコックも味方の撤退を助けるようです。
さすがにここまで追い込めば十分。
帝国軍でもそういう空気になり、ヒルダがラインハルトに対し、敵へ降伏勧告することを進言します。
でもラインハルトはそれを受け入れません。
今更ビュコックへ降伏勧告しても受け入れないだろうし、そんなことをすればあの老人に笑われると。
この辺のラインハルトの心情がイマイチわかりませんねえ。
「降伏勧告は無駄」と本気で思っているというのが一番の理由だと予想しますが、それと同時に「降伏をビュコックが受けいれたら興ざめする」とも思ったのかもしれません。
結局、ラインハルトではなく、ミッターマイヤーが宇宙艦隊司令長官としてビュコックへ対して降伏勧告を行います。
ビュコックも同盟の宇宙艦隊司令長官。
同格の者が勧告するということで落ち着いたようです。
ミッターマイヤーの勧告に対し、ビュコックはラインハルトと話がしたいと返答。
ミッターマイヤーはその返答を受けいれて、ビュコックが座上するリオグランデとラインハルトの旗艦であるブリュンヒルトの通話回線を繋げます。
ブリュンヒルトのスクリーンに映し出されるビュコック。
ラインハルトに敬礼をした後、自分の考えをラインハルトに伝えます。
降伏はしない。
なぜなら自分は臣下にはなれないから。
民主主義は対等の友人を作る思想であり、
臣下を作るものではない。
ヤンもたぶん同じ意見であると。
降伏勧告へ拒絶。
さらに負けかけている癖に説教みたいな言葉を投げつけられたのです。
いつものラインハルトなら激おこになっても不思議ではありません。
しかしラインハルトは怒らず、横にいたロイエンタールに頷きます。
ロイエンタールの命令でリオ・グランデに集中砲火をぶつける帝国軍。
その攻撃により同盟艦隊の総旗艦リオグランデ撃沈。
ビュコックは酒を飲みながら光の中に消えました。
他人に何がわかる。
ラインハルトだって臣下だけが欲しい訳ではない。
キルヒアイスのような人間がいれば…。
帝国軍はマルアデッタ星域から離脱する際、敬礼をすることに。
勇戦した敵将に対する礼を尽くすというということなんでしょうね。
ヤンを買いかぶり過ぎ
同盟艦隊を殲滅し、意気揚々と惑星ハイネセンに向かおうとした帝国軍にイゼルローン要塞失陥の報が伝わります。
この知らせにラインハルト激おこ。
勝利の美酒をグラスごと床に叩きつけます。
そりゃあそうです。
自分達はヤンの手のひらで転がされていたかもしれないのですから。
ビュコックが帝国軍の本隊を引き付けている間にヤンがイゼルローン要塞を落とす。
そうすれば帝国軍の補給はフェザーン回廊経由だけとなります。
そしてそのフェザーン回廊の補給線をヤンに寸断されてしまったら…。
アムリツァ会戦の時の攻守が入れ替わった状態になるかもしれないのです。
帝国軍の主力はほぼラインハルトと一緒に出撃しており、それ以外の戦力は惑星ウルヴァシ―のシュタインメッツとイゼルローンから撤退してきたルッツ。
そして帝国本土にはメックリンガーとワーレンの艦隊しかいません。
現状、ヤンがどれだけの戦力を握っているか不明な状態ですので、補給線の寸断は現実味をもっているのです。
ただ当然これは偶然が重なっただけ。
それをヒルダに指摘されて少し怒りが薄れたラインハルトですが、ルッツに謹慎を命じます。
今はヤンのことを放っておくしかありません。
当初の予定通り、ラインハルト率いる帝国軍の本隊は惑星ハイネセンを目指します。
ただしゆっくりとしたスピードで。
そうすれば同盟政府内でいろいろ起こって、ラインハルトの手を煩わせることがなくなるかもしれないので。
銀河英雄伝説(旧OVA版)第72話を視聴し終わって
今回はここで終了。
ビュコックの最期は素直にカッコ良かったです。
ラインハルト相手に媚びず、もちろん命乞いもせず説教をするなんて。
ただラインハルトも最初から臣下を欲してた訳でありません。
赤毛の友人がいましたからね。
その赤毛の友人が生きていればラインハルトの考え方もまた違ったものになってたかもしれません。
さて同盟軍の最後の宇宙艦隊が消滅したことで同盟の滅亡は不可避となりました。
果たして同盟の元首であるレベロ議長はどうするつもりなんでしょうか?
次回も楽しみです。
銀河英雄伝説(旧OVA版)第73話「冬バラ園の勅令」の感想 「自由惑星同盟滅亡のお知らせ」
今回のまとめ三行
- 同盟軍の敗北
- 民主主義は臣下ではなく友人を作るもの
- イゼルローン失陥を知り勝利の美酒が台無し